[R7RS+ base][SRFI-17] まずexpressionが評価されます。最初の形式では、symbolへの束縛が expressionの結果を指すように変更されます。 もしsymbolがローカルに束縛されていない場合は、グローバルな変数symbolが 存在していなければなりません。そうでなければエラーが報告されます。
2番目の形式はSRFI-17に定義されている「一般化されたset!」です。 これは構文的な装飾であり、実際は以下のように解釈されます。
((setter proc) arg … expression)
CommonLispのsetf
とは、setter手続きに渡される引数の順序が異なることに注意して下さい。
例:
(define x 3) (set! x (list 1 2)) x ⇒ (1 2) (set! (car x) 5) x ⇒ (5 2)
[SRFI-210] 複数の変数を同時に更新します。Exprは与えられた変数と同じ 数だけの値を生成しなけばなりません。各値が対応するvarに セットされます。
(define a 0) (define b 1) (define c 2) (set!-values (a b) (values 3 4)) a ⇒ 3 b ⇒ 4 (set!-values (a b) (values b a)) a ⇒ 4 b ⇒ 3 (set!-values (a b . c) (values 1 2 3 4)) a ⇒ 1 b ⇒ 2 c ⇒ (3 4)
define-values
も参照 (定義)。
[SRFI-17] 手続きprocのsetter手続きを返します。 procがsetter手続きを持たない場合の動作は未定義です。
ある関数fのsetter手続きgとは、もし(g a b … v)
のように
呼ばれた場合、次の(f a b …)
がvを返すようになる手続きのことです。
ある手続きにsetter手続きを関連付けるには、setter
自身のsetter手続きを使うことが
できます。
(set! (setter f) g)
特定の手続きにsetter手続きを「ロック」することができます。システム既定のsetter手続き、
例えばcar
に対するset-car!
等はロックされていて、上記のような方法で
変更することは出来ません。ユーザ定義手続きにsetter手続きをロックするには下記の
getter-with-setter
を使います。
procが手続きでない場合は、object-apply
ジェネリックファンクションの
setterが返されます。これにより、適用可能オブジェクトが一般化されたset!
でもうまく動作します。詳しくは適用可能なオブジェクトを参照して下さい。
procがsetter手続きを持っている場合は#t
を返します。
[SRFI-17] 2つの手続き、getとsetを取り、新しい手続きを返します。 新しい手続きはgetと同じ動作をし、そのsetter手続きはsetにロックされて います。
この手続きは、SRFI-17によれば、setter手続きのインライン展開を可能にするための ものですが、Gaucheではまだそのような最適化は実装されていません。
Gaucheでは、一般化されたset!
と同じセマンティクスを持ついくつかのマクロが定義
されています。これらはset!を使った形に展開されます。
itemとplaceの値をコンスし、その結果を再びplaceにセットします。
placeはset!
と同様に、
変数か(proc arg …)
という形式でなければなりません。
このマクロの戻り値は未定義です。
(define x (list 2)) (push! x 3) x ⇒ (3 2) (push! (cdr x) 4) x ⇒ (3 4 2)
placeがリストの場合、だいたいこんなふうに展開されます。
(push! (foo x y) item) ≡ (let ((tfoo foo) (tx x) (ty y)) ((setter tfoo) tx ty (cons item (tfoo tx ty))))
註:Common Lispのpush
マクロは引数を逆の順番で取ります。
push!
は他の副作用を持つ形式との互換性を考えてこの順番としました。
Perlのpush
関数はpush!
マクロと同じ引数順ですが、
itemはシーケンスの末尾に追加されます (Perlのunshift
の方が
push!
の動作に近いです)。
Perlのpushオペレータの動作が必要ならQueueが使えます (data.queue
- キュー参照)。
placeの値はリストでなければなりません。itemがそのリスト中に なければ、placeがitemを先頭にコンスした値に更新されます。 itemが既にplaceの値の中にあれば、何も起きません。
itemが既にある値と等しいかどうかはequal手続きで比較されます。
省略された場合はeqv?
が使われます。
Common Lispのpushnew
に似ていますが、引数の順序が異なります。
data.queue
のenqueue-unique!
とqueue-push-unique!
も
参照してください(data.queue
- キュー)。
(define v (vector '("a"))) (push-unique! (vector-ref v 0) "b") v ⇒ #(("b" "a")) (push-unique! (vector-ref v 0) "A" string-ci=?) v ⇒ #(("b" "a")) (push-unique! (vector-ref v 0) "A") v ⇒ #(("A" "b" "a"))
placeの値を取り出し、そのcdr
をplaceにセットします。
元の値のcar
を返します。
(define x (list 1 2 3)) (pop! x) ⇒ 1 x ⇒ (2 3) (define x (vector (list 1 2 3))) x ⇒ #((1 2 3)) (pop! (vector-ref x 0)) ⇒ 1 x ⇒ #((2 3))
註:この動作はCommon Lispのpop
と同じです。
Perlのpop
はシーケンスの末尾から値を取ります。
Perlならshift
がpop!
の動作に近いです。
placeの値を評価します。それは数値にならなければなりません。
その値にdeltaが加算(inc!
)もしくは減算(dec!
)され、
結果がplaceに格納されます。deltaの既定値は1です。
Common Lispのincf
とdecf
に似ていますが、
戻り値を使うことは出来ません。
push!
等のマクロの一般化された形式です。
procは一つの引数を取り、一つの値を返す手続きでなければなりません。
placeの値がprocに渡され、procの結果がplaceに格納されます。
(define a (cons 2 3)) (update! (car a) (lambda (v) (* v 3))) a ⇒ (6 . 3) (update! (cdr a) (cut - <> 3)) a ⇒ (6 . 0)
次のコードと概ね同じです:
(let ((tmp0 place0) (tmp1 place1) ... (tmpN placeN)) (set! place0 tmp1) (set! place1 tmp2) : (set! placeN tmp0))
但し、place
が(proc arg ...)
の形であった場合、
各argは1度しか評価されません。
二ヶ所の値を交換するのにも使えます:
(let ((x (vector 1 2))) (rotate! (~ x 0) (~ x 1)) x) ⇒ #(2 1)
これはCommon Lispのrotatef
に似ています。