本章ではSchemeの数のモデルについて述べる.数学的な数,それらを表そうとするSchemeのオブジェクト,数の実装に使われる計算機上の表現,数を表記するために使われる記法を互いに区別することが重要である.本報告書では,数(number)という用語は数学的な数を指し,数値オブジェクト(number object)という用語は数を表すSchemeのオブジェクトを指す. 本報告書では複素数,実数,有理数,整数という型を,数学的な数を指すのにも,数値オブジェクトを指すのにも使う.固定長整数(fixnum),浮動小数点数(flonum)型は数値オブジェクトの特殊なある部分集合を指し,これらは以下で述べるように一般的な計算機上の表現から決められた.