数は部分集合による塔のように並べることができ,塔の各階層はそれより上の階層の部分集合になっている.
number(数) complex (複素数) real (実数) rational (有理数) integer (整数)
例えば 5 は整数である.このため 5 は同時に有理数でもあり,実数でもあり,複素数でもある.これは5を表す数値オブジェクトでも同じである.
数値オブジェクトは述語number?, complex?, real?, rational?, integer?で定義される部分型の塔によって体系づけられる (11.7.4.1 Numerical type predicatesを参照). 「Integerの数値オブジェクト」は整数オブジェクトとも呼ばれる.
ある数を含む部分集合とそれらの計算機内部での表現との関係は単純ではない.例えば,整数5は複数の内部表現を持つかもしれない.Schemeの数値演算は数値オブジェクトをそれらの内部表現からできるだけ独立した抽象的なデータとして扱う.Scheme処理系は数を表す複数の内部表現を使っても良いが,そのことが単純なプログラムを書く普通の(casual)プログラマに分かるようであってはいけない.