R6RS:翻訳:R6RS:1.1 Basic types

R6RS:翻訳:R6RS:1.1 Basic types

1.1 基本型

Scheme プログラムではオブジェクトを操作する。オブジェクトは値としても参照される。 Scheme のオブジェクトは型と呼ばれる値の集合に組織化される。本節では Scheme 言語において基本的に重要な型を概観する。これ以外の型については後の章で述べる。

: Scheme は潜在的に型付けされるため、本報告書での型という用語の用法は他の言語、特に明確な型のある言語の文脈での用法とは異なる。

ブール値

ブール値は真偽値であり、真か偽のいずれかである。 Scheme では「偽」にあたるオブジェクトは #f と書き、「真」にあたるオブジェクトは #t と書く。ただし、真理値が期待されているほとんどの場所では、 #f 以外の任意のオブジェクトが真と見做される。

Scheme では、任意の精度の整数や、有理数、虚数、そして様々な種類の不正確な数といった、豊富な数値データ型をサポートしている。 R6RS:翻訳:R6RS:3 Numbers では Scheme の数の階層の概観について述べる。

文字

Scheme の文字はほぼ字面上の文字に対応する。より精確に言うと、 Unicode 標準のスカラー値と同一である。

文字列

文字列は文字の固定長の有限の列であり、任意の Unicode のテキストを表現することができる。

シンボル

シンボルは文字列(シンボルの名前)を表現するオブジェクトである。文字列とは異なり、名前のつづりが同一であるふたつのシンボルを区別することはできない。シンボルは多くのアプリケーションで有用である。例えば、他の言語で列挙値が使われている場面で使うこともできる。

対とリスト

対はふたつの構成要素から成るデータ構造である。もっとも一般的な対の用法は(単一連結された)リストを表現することであり、最初の要素(car)がリストの最初の要素を表し、 2 番目の要素(cdr)がリストの残りの部分を表現する。Scheme には別個の空リストもあり、これは、リストを構成する対の繋がりの最後の cdr になる。

ベクタ

ベクタは、リストと同様に、任意のオブジェクトの有限の列を表現する線型のデータ構造である。リストの要素がそれを表現する対の繋がりを通して線型にアクセスされるのに対して、ベクタの要素は整数の添え字によって位置を指定する。したがって、ベクタはリストよりも要素へのランダムアクセスに適していると言える。

手続き

Scheme では手続きは値である。


Last modified : 2008/11/07 21:51:34 UTC