aka:DRM:Microsoft Research Group Digital Rights Management (DRM) Talk
aka:DRM:Microsoft Research Group Digital Rights Management (DRM) Talk
- Microsoft Research Group Digital Rights Management (DRM) Talk
- Introduction
- DRM systems don't work
- 事実: いろいろな暗号化方式があったが、現在のところ鍵を使った暗号化方式が、種類としてはもっとも安全であると一般的に考えられている。
- 理由1: 秘密にしなけばいけないのは、鍵だけである。秘密は少いほど守りやすい。
- 理由2: 理由1に関連するところ、アルゴリズムを公開できるので、それを大勢の人が穴が無いか検証できる。
- Shneier's Law: 「誰でも、自分自身では破れないという暗号方式を発案することはできる」
- これのレンマとして、「ある暗号化方式が安全であるということを確かめるには、世界中のエキスパートに穴が無いか検討してもらうことが必要である」
- 事実: DRMで問題なのは、情報を受取る人自体が攻撃者であることである。
- すなわち、なんらかの形で、鍵まで含めて、全ての情報を受信者=攻撃者に渡さなければいけないから、構造的に問題を孕んでいる。
- 事実: いかなるDRMも、遠からず、必ず破られる。
- DRM systems are bad for society
- 意見: 前節の考察に対し、「DRMは、普通の人がコンテンツを不正にコピーすることを防ぐものである。その程度のものである。セキュリティエキスパート等の専門家にも破られないものを指向しているわけではない」というかもしれないが、それは無意味である。
- 理由1: 技術的な理由。
- 事実: 検索したり、P2Pソフトを使ったりすれば、自分自身でクラックせずとも容易に手に入る。
- 理由2: 社会的な理由。
- 事例: DRMは、ユーザの権利を過剰に制限し、その結果として、DRM解除されたコンテンツが手に入る非合法流通の世界にユーザを誘う。
- 意見: これに対し、DRM解除されたコンテンツを無くすため、anticircumvention があるが、これはまずい選択である/あった。
- 理由1: 事実: anticircumventionはShneier's Lawに反しており、暗号化方式自体の強度を下げる方向になっている。
- 理由2: 事実: DRMとanticircumventionの組み合わせは、著作権という微妙なルールのバランスを崩す。例えばDVDのリージョンコードは、著作権者と機器ベンダが勝手にやっていることであり、あの仕組みに法的根拠は存在しない。それにも関わらず、合法にDVDプレーヤを米国で購入して自分の所有物とし、合法ニDVDタイトルを日本で買って自分の所有物としたときであっても、それらを組み合わせても再生できないから、再生できるようにリージョンコードの仕組みを回避したら、それはanticircumventionによって犯罪となる。
- 理由3: 事実: DRMはアクセシビリティを阻害する。例えば、DRMがなければ電子書籍のテキストを自分の読み上げ装置に入力することができるが、DRMはそれを阻害する。
- Reference
- DRM systems are bad for biz
- 事実: DRMに関しては、コンテンツを持っている人々が、コンテンツ再生機の仕様を決められるという状況にある。
- 意見: これは、ビジネスを阻害する環境である
- 論拠1: 昔、AT&Tの電話器は、AT&T独占だった。AT&Tのネットワークの安定性を守るという名目で、AT&T製以外の電話器を電話回線に繋ぐことが禁止されていた。あるとき、それが開放された。電話器市場ができることによって、ユーザが得をしただけではなく、AT&Tもその市場にいろいろな商品を投入することによって、売り上げが上がった。
- 論拠2: 実際に、DVDプレーヤに関するイノベーションは存在しない/しなかった。それはDVDプレーヤに関する自由な競争市場が形成されなかったからだ。
- DRM systems are bad for artists
- 事実: 著作権とは、そもそも技術的な話題である。なぜなら、複製、伝達、ということは、そもそも技術の話題または所産だから。
- 事実: 音楽のコピーについていえば、ピアノロールがその初まりだった。このとき、連邦議会は、1) ビアノロールのような新しい演奏方法を禁止しないこと、2) ただしピアノロール一枚あたり2セントを音楽出版社に支払い、社会的に創作意欲の維持向上を指向することを決めた。
- 事実: 藝術に関する新しいビジネスモデルの成功は、常に、新しいメディアを受容することを内包している。
- 事実: その、新しいメディア、の重要因子は、スケーラビリティというか増殖性である。
- 例: ルターの聖書、ピアノロール、MP3、etc。品質は悪いかもしれないがスケーラビリティを有している。
- 事実: コンピュータは、ビットを並べ替える機械であり、インターネットは、ビットをいろいろな場所に、極めて素早く安価にて移動させる機械である。
- 事実: インターネットを利用したニューメディアは、全て、前項の特徴を持っている。
- 意見?: インターネットを利用した真の電子出版とは、そのスケーラビリティを最大限に有効活用して、短期間に何億人もの人に読ませることができるというようなことである。
- 意見?: それから考えれば、現状のDRMと専用端末をつかった電子出版など、電子出版と呼ぶに値しないものだ。新しい時代の電子出版、とはそんなものではないだろう。
- 事実: 日々、多くの人が情報に触れるのは、デジタルな端末を通じてになっている。友達とコミュニケーションすること含めて。
- 事実: 情報の摂取というのはゼロサムルールだ。何かの情報にせっする、ということは他の情報にせっしない、ということだ。
- 意見?: なので、アーティストとしてみなに自分のメッセージを伝えていこうとしたら、インターネットを使った大増殖配布を利用すべきなんだ。
- 意見?: それが現在の著作権法にあっていないとしたら、著作権法が古いだけだ。
- 事実: 著作権法は倫理的なものではない。社会の発展のためのバランスを取るためのものだ。なので、新技術がでてくればそれにあわせて変えるべきものだ。
- DRM is a bad business-move for MSFT
- 事実: ユーザが喜ばない/求めていない機能や制限を入れたら、その製品は必ず失敗する。
- 事実: DRMはユーザが求めている機能や制限ではない。
- 例: ソニーのネットワークウォークマンの失敗、等。
- 意見: Microsoftは、DRMとは違う道を進むべきである。実はMicrosoftは著作権法を変えてきた主役の一人である。例えば、Webのキャッシュサーバやプロキシサーバ、あれは旧来の著作権法では違法だが、それに関わらず社会的要請として実現されて、法律が現実に後から追い付いたのだ。DRMについてもMSはそれを実現できる立場にある。
Last modified : 2012/04/26 10:22:53 UTC