Shiro:ActingForAdults
Shiro:BeginningActingがおもしろかったので、
今度はDiamond Head Theaterで開かれている
"Acting for Adults" というクラスを取ってみた。2003年9月〜11月。全10回。
Kumu Kahua Theaterは小劇場タイプだったが、
Diamond Head Theaterはプロセニアムのある舞台がどーんとある。
普段はミュージカル中心に上演されているらしい。まだ公演を観に行ったことはない。
第1回 (2003/9/15)
今日はリハーサル室にて。
参加者は10人。teenagerから引退したおじさんまで年齢層は幅広い。
BeginningActingのコースのように自己紹介とかはせずに、簡単に点呼みたいなのを
取ったらすぐにエチュードに入った。
- 鏡。手足の動きから始まって、日常生活のアクション、ハプニング。
集中することと、相手を感じること。
- Acting is about behaving. Acting is about sharing.
Open your mind, sense the world, and react to it.
- 感覚。2人一組になって、一方が目をつむり、感じたい感覚を言う。
もう一方は口をきかずに、相手をその感覚へと導く。
- Keep trying to broad your senses. It's necessary since you need to
recreate what you feel on the stage.
Walk around your apartment with closed eyes, go to the place where you've never been. Every day, try to do things you never have.
You'll discover a lot.
- 呼吸。リラックスした姿勢。あくび。宿題:腹式呼吸。
- Every morning, try to yarn in different ways.
Explore your voice.
- 声を届かせる、"projecting the voice"
- Tongue twisters:
Whether the weather is cold,
whether the weather is hot,
we'll be together whatever the weather,
whether we like it or not.
第2回 (2003/9/22)
今日もリハーサル室にて。今日のテーマは声。
- リラクセーション
- 発声
- 共鳴の3ポイント: 胸、喉、鼻腔 - 全てに共鳴させる
- 喉をひらく
- 腹筋の使いかた。訓練すれば誰でもできるようになる。
- 声の使いかた: 4通りの変化
- fast vs slow
- loud vs soft
- modulation (pitch) - 誰でも2.5オクターブの声を持っている
- inflection - 文の中のどの要素を強調するか
- これらは単なるskillだが、キャラクタを演ずる上で非常に重要。
キャラクタの背景などごたごた考えないでも、とっさに入ってゆくために有用なskill。
- Tongue twisters: さまざまな表現で。
Moses supposes his toes are roses, but Moses supposes erroneously.
Peter piper picked a pack of pickled papayas.
- エチュード: Interview
- 2人一組になり、舞台上でTVのトークショーの要領でお互いにインタビューする
- 最初は本人として。
- 次に、嘘のキャラクターを作って。
- speechにおけるパンチ。文の最後を下げない。リズムを単調にしない。
第3回 (2003/9/29)
今日は舞台が空いたので、初めてDHTの舞台にあがる。
結構しっかりした舞台だ。プロセニアムの間口は5間くらい。
ただ袖はそんなに広くない。
- 舞台用語
- 上手:Left, 下手:Right
- 奥から手前に、upstage, middlestage, downstage.
昔の舞台(客席に段がなく、舞台の方を奥が高い階段状にしていた)に由来。
- 八百屋舞台はraked stage
- シーリングライトはA.P. (Anti-Proscenium)というそうな。
- melodrama: I can't pay the rent
- melodrama : 19世紀半ば、もっともポピュラーな娯楽。善悪がはっきりしている。
観客からも野次が飛ぶのが普通だった (このへんは日本のと変わらないね)
- ここでは、舞台での演技、projectionするということを体験するのが目的。
- 登場人物は3人。heroine, villain, hero. 筋書き、セリフは単純。
Heroine: I can't pay the rent. I can't pay the rent. I can't pay the rent...
(舞台中央で泣き崩れる。悪役、憎々しげに下手より登場)
Villain: What that I heard? You can't pay the rent?
Heroine: I can't pay the rent.
Villain: You must pay the rent!
Heroine: I can't!
Villain: You must!
(もみあっているところに、ヒーロー上手よりかっこよく登場)
Hero: What that I heard? A good man in depression?
Unhand the woman!
Villain: Who are you?
Hero: I'm you worst enemy.
(悪役、憎々しげに去る)
Hero: You are safe with me.
Heroine: Ah, my hero...
- とにかくoveractする。engage the audience.
- 全員が全ての役を体験する。どんどん入る。
- 慣れて来たら、でたらめ語(gibberishで)
- のって来たら、いろいろな設定でimprovしてみる。
- review
- 後半は客席にて、講義みたいな感じで、auditionについていろいろ。
- cattle call, cold reading, prepared monologue
- cattle callは役者の外観が役やシーンにフィットしない者をはじくだけ。
演技は一切関係なし。
- cold readingはスキル。毎日10分づつでもやれば延びる。
- monologue: 手持ちを3つ用意しておく。
自分の得意なもの(特に自分に合っているもの…英語が母国語でなくても、
訛りのある英語の方がぴったりくるモノローグだってある)、
Shakespeareからひとつ、あとはturn of the centuryあたりの作家のをひとつ(Ibsenとか)。
第4回 (2003/10/6)
今回も舞台で。
- 発声。
- 3つのresonance: 胸、喉、鼻腔。どこに響かせているかを意識する。
resonanceを使い分ける。
- 第2回でやった、声の使いかたの4つの手法-- fast&slow, loud&soft, pitch,
inflection--を使う練習。"Mary had a little lamb. Its fleese was white as snow.
Everywhere Mary went, the lamb was sure to go" を色々な言い方で。
- cold reading
- いきなり台本を渡されて読むのをcold readingと言う。
- 今回は詩の本で。適当に選んで一人づつ読む。4つの手法を十分に使って。
- 読むときは本から目を離し、audienceにprojectする。
- be flexible.
- where and when
- 一人づつ、whenとwhereを与えられて、それを舞台で演じる。
(観客はwhenとwhereは知らされない)。
喋ってはいけない。喋りにならない声はOK。
- ついで、2人か3人づつのグループにわかれ、それぞれ
ある程度のストーリーのある設定を与えられて、それを同様に
喋り抜きで演じる。
- The secret is "not to think, but do". To act is really to do.
Text is certainly important, but it's not what dominates.
Text and action are maybe 50-50.
- Don't try to explain. Just react to the surroundings you imagine.
- Don't think what's right or wrong. Audiences don't know what's right or wrong, they just want to see something happening. The only time they know something went wrong is when you show it.
- If you believe [the scene], audiences happily go along with you.
- 次回はおやすみ。さ来週はmonologueをやるので、
ひとつ好きなのをpickして覚えて練習してくること。
目安は3〜5分。
- monologueとは、せりふを言っているのが一人ということで、
舞台上に他の演者が居ても構わない。
- propは、ひとつふたつならOK。
第5回 (2003/10/20)
舞台にて。
- Reaction, anticipation, being ready
- You have to be ready before stepping up on the stage
- Reaction, anticipationのエチュード1--クラップの受渡し:
輪になって立つ。スタートの人は、誰かとアイコンタクトを取って
一緒にクラップを打つ。その誰かは別の人とアイコンタクトを取って…
という具合にクラップを受け渡して行く。最初は順番に。慣れて来たら
ランダムに。そして次第に速く。必ずアイコンタクトを取ってから、
クラップをあわせること。常に全体に起こっていることに注意を払うこと。
- Reaction, anticipationのエチュード2--"zip, zap, zop":
同様に輪になって立つ。スタートの人は誰かをアイコンタクトで捕まえて、
"zip"とその人に投げる。受け取った人は誰かに"zap"、次の人は"zop"、
そしてまた"zip"…と繰り返す。例外として、受け取った人が元の渡し手に
返す時には同じ言葉を繰り返す。また、返された人に再び返すのは無し。
(つまり、AがBに"zip"と言って、BがAに返すときはやはり"zip"という。
次にAはB以外の誰かに"zap"を渡さなければならない)。
言葉は何でも良い。"flip, flap, flop" とか "piff, paff, poff"とかやった。
- これは体と感覚のwarm upに良いエチュード。だが"zap"と"zop"の
聞き分けが難しかった---常に意識していないとだめ。
彼らにとっては自然に、全く別の音として認識されているようだ。
- Monologue
- 練習してきたやつをやってみる。講評。
- Brechtの"Life of Galileo"の14幕の長ぜりをやってみた。
ちょっと無謀なchallengeだったかも。キャラクタを作り、
セリフを回すところまででいっぱいで、シーンを作るところまでいけなかった。
それに長すぎ。
- 次回はもっと短いmonologueを、コメディからひとつ選んで練習してくること。
第6回 (2003/10/27)
今日は集まりが悪かった。
舞台は仕込みが始まりつつあるところだったが、サイドが空いていたので
そこでやる。
- モノローグ
- 今回はモリエールの「いやいやながら医者にされ」のSganarelleのセリフを。
キャラクタが立っているのでやりやすかった。
だが、せりふの記憶に怪しいところがあると、日本語でやる時みたいに
なんとなくごまかすということができずに止まってしまう。
きついね。
第7回 (2003/11/3)
今日もモノローグ。舞台にて。
今回は「Uncle Vanya」から、第2幕のVanya Voynitskyの長ゼリを稽古していった。
コミカルにやってみようとtryしたんだが、まだ全然だ。
"Shiro, why do you always pick hard ones?" と言われたが、
そもそもあんまり米国/英国の芝居って知らないし、日本の芝居の
英訳なんて手に入らないし、日本にいたころ知っていた中から選ぶと
あんまり選択肢が無いんだよなあ。
Shakespeareは、いつかはやるべきなんだろうけど、
あの英語喋るのはきつそうだ。
あと手元にあるのはTennessee Williamsくらいだが、それも難しいしなあ。
映画の脚本は数冊あるけど、オリジナルにひきずられそうで難しい。
来週は、今日やったモノローグをもういちど稽古。
それから短いシーンをもらったので、そのせりふを入れて来る。
英語で演じることと日本語で演じること
今回の場合、このせりふには特に難しい単語はなくて、
覚えるだけなら前の2つに比べて簡単だった。だが、
日本語で演技をしている時は、一度せりふを入れたら
「思い出す」というプロセスは無くて、キャラクタに直接繋げることができた。
キャラクタが自ら喋るので、せりふ回しの制御はその流れに変調を
かけるだけで良かった。おおざっぱに言うとこんなイメージ。
(ほんとはフィードバックループがあるんだけど省略)
imagination modulation
| |
| | (役者としての操作)
| |
キャラクタ v キャラクタ v
人格、状況 ====> 心理、身体変化 =====>発語
"===>" の部分はspontaneousに流れるので、それを役者としての意識が
操作してやる感じ。これらの操作は稽古を重ねるにしたがって
減ってゆき、最終的には役者としての意識はちょっときっかけや
刺激を与えるだけになるけれど、稽古の初期段階ではかなり
頭を回さなくちゃならない。
英語でやっていると、こんな感じ。
imagination modulation
| |
| | (役者としての操作)
| |
キャラクタ v キャラクタ v
人格、状況 ====> 心理、身体変化 ----> 言葉 ---->発語
言葉にする時点で、なにかartificialな操作が加わっている感じがする。
頭の中にもう一人、編集者がいて、発生する言葉を吟味したり
チェックしたり忙しくしている。さらに、それが発語される時に
発音がチェックされる。今のところ、それらに処理時間をとられている
感覚がある。
これは英語ネイティブでない者には避けられないのか、
それとももっとfluentになれば変わって来るのか、
興味がある。
Director発言メモ
- Audiences believe what you [actor] believe. They don't believe
what you don't believe.
- Mime is hard, because it's very easy for audiences to pick errors---"hey,
the guy stepped on foods!". So, if you do mime, take time and do it
extremely carefully. Do it in detail. Audiences love to see details.
- (芝居の一部分を取り出してモノローグとして演技する時に、
設定を変えてもよいのか?という質問に対して) Yes. In general, directors
love to see something new. So you should not be bound by the original
play or movie. Many people imitates a scene from movie. That's not
what we want to see.
英語のUncle Vanya
ところで今回、モノローグを稽古するにあたって
Uncle Vanyaを英訳で通して読んでみたんだけど、
なんか日本語訳で読んだ時と印象が違うような気がする。
日本語訳が手元に無いので比較できないのだけれど。
日本語で読んでいるとどうしても「翻訳劇」という感覚が拭えないのだが、
英語だととても自然な感じがして、素直に読めた。
これはどういう理由だろう。
- 英語である時点で自分にとってforeignなので、19世紀ロシアという設定の
foreignさが目立たない。
- 英訳がうまい (手元にあるのはRonald Hingley訳、Oxford University Press版)。
- 日本語と英語の言語の構造の違い。
特に、英語に比べて日本語の方が、
せりふの語句の選択がキャラクタを特徴づけてしまうことが多いのではないか。
1., 2.ならまあいいんだけど、3.だとすると、これは日本語で翻訳劇をやる
上での特別な難しさということになりそうだ。
もちろん、英語版で細かいニュアンスを掴み損ねているという可能性は
あるのだけれど。少なくともこの版では英語は平易で自然な会話に見える。
なんか最近、ワーニャ伯父さんのあたらしい邦訳が出たとかいうのを
どっかで読んだので、今度日本に行った時に探してみよう。
印象が変わっているかもしれない。
第8回 (2003/11/10)
クラスの先生が演出をやってる芝居が来週初日なので、
今日のクラスは「その稽古を見学する」という内容。
…っていうか、要はそっちの公演で時間がなくなったってだけじゃ…
場所はManoa Valley Theater。
Manoaのショッピングセンターの隣である。あんなところに劇場があったとは
ついぞ知らなかった。
舞台は仕込みがほぼ終わってて、きっかけ+シーンみたいな稽古だった。
"wet run"って言ってたかな。
第9回 (2003/11/17)
演出は今日も時間が取れないらしく、本日もManoa Valley Theaterにて
プレビュー公演見学。
第10回 (2003/11/23)
Diamond Head Theaterでは私の取っていたコース(初心者向け)以外に
同じ先生が教える進んだコースがあるのだが、
今回と次回はそちらのクラスと合同でやることに。
もうシーンの稽古に入れるし、けっこう途中でこなくなった人が居るので
ちょうどよいってことだろう。
進んだコースの方は、出演歴のある役者が数人。MVTで現在公演中の
芝居に出てる人もきてた。
形式も、自分で選んできたシーンをやったりとか、
特に手持ちが無ければ劇場のストックからシーンやモノローグを
持ってきてやったりとか、かなり各人が独立している。
次の公演に向けて稽古中の人はそのホンを持ってくるし、
オーディションが近い人はそれに向けた稽古を見てもらうって感じ。
こういう持ち寄り型のワークショップはいいね。
私は、3週間前に3人でやる簡単なシーンをもらっていたのでそれを
やったのと、Vanyaのモノローグをもう一度。
第11回 (2003/11/30)
最終回。先週と同じ形式。
3人でやるシーンのセリフを入れておいたので、仕上げ。
Last modified : 2005/06/23 07:38:50 UTC