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3.5 プラットフォーム依存の機能

GaucheではOSが提供するAPIに近い低レベルAPIを提供するようにしています。 しかし、システムごとに扱いの違うものがあります。たとえば、POSIXでは symlinkは必須ではありませんので、システムによっては sys-symlink (ディレクトリ操作参照)がありません。 UNIX系のシステム関数は少なからずWindowsでは使えません。

プラットフォーム間でポータブルなプログラムを書くために、Gaucheでは 頻繁にcond-expand を使います(機能条件式参照)。 拡張された機能識別子(feature-identifier)が提供されており、これ を使って特定の機能が利用可能かどうかチェックできます。たとえば、 symlinkがあるシステムでは機能識別子gauche.sys.symlinkが 定義されます。したがって、以下のようにsys-symlinkが利用できるか どうかによって、コードをスイッチするようなプログラムを書けます。

 
(cond-expand
 (gauche.sys.symlink
   ... code that uses sys-symlink ...)
 (else
   ... alternative code ...)
 )

Cのシステムプログラミングに詳しいなら、上のコードは以下のCのイディオム と同じだとみなせます。

 
#if defined(HAVE_SYMLINK)
... code that uses symlink ...
#else
... alternative code ...
#endif

このような機能識別子はたくさんあり、それぞれの識別子についてはこのマニュ アル中のその機能に依存した手続きの項目で説明しています。特に重要なもの を以下にリストアップしておきます。

gauche

この機能識別子は常に定義されています。Gauche以外のSchemeの実装とも互換 性のあるコードを書くときに使えます。

gauche.os.windows

Windowsネイティブプラットフォームで定義されます。(現時点では、MinGWを 使っていますが、将来VC++版をサポートする予定です。) cygwinでは この機能識別子は定義されません (下記も参照)。

gauche.os.cygwin

Cygwin上で定義されます。

gauche.sys.threads

Gaucheがスレッドをサポートするようにコンパイルされている場合に定義されます。 詳細はgauche.threads - スレッドを参照してください。

gauche.sys.pthreads
gauche.sys.wthreads

スレッドがサポートされている時に、下位の実装を示すために定義されます。 詳細はgauche.threads - スレッドを参照してください。

gauche.net.ipv6

GaucheがIPv6をサポートするようにコンパイルされている場合に定義されます。

gauche.ces.utf8
gauche.ces.eucjp
gauche.ces.sjis
gauche.ces.none

これらの機能識別子のうちのどれかひとつが、Gaucheの内部文字エンコーディングに応じて 定義されます。内部エンコーディングについて詳しくは マルチバイト文字列を参照してください。

cond-expandはマクロなので、cond-expand自身がトップレベル にあれば、節の本体はトップレベルで展開されます。これはトップレベルの定 義をスイッチできるということです。

 
(cond-expand
 (gauche.os.windows
  (define (get-current-user)
    ... get current username ...))
 (else
  (define (get-current-user)
    (sys-uid->user-name (sys-getuid)))))

あるいは条件によってモジュールを使いわけられます。

 
(cond-expand
 (gauche.os.windows
   (use "my-windows-compatibility-module"))
 (else))

実行時にトップレベルの束縛をチェックするような旧いテクニック (global-variable-bound?を使う, モジュールイントロスペクション参照) は正しく働きません。これはプログラム実行時に実行されますが、use 形式はコンパイル時に意味をもちます。可能なかぎり、cond-expandを 使うことを推奨します。

現時点では機能識別子集合はGaucheのコンパイル時に固定されます。つまり、 Cのプリプロセッサを使った条件分岐よりも柔軟性に劣ります。この機能を拡 張してあとから機能識別子を追加できるようにする計画ですが、この機能拡張 はコンパイルと実行交互におこるときのセマンティクスを複雑にしてしまう可 能性があり、現在その影響を慎重にみきわめている最中です。

いくつか注意事項があります。

機能識別子は変数ではありません。cond-expandfeature-requirement部の内部でのみ利用可能です(機能要求の定義全般 については機能条件式を見てください)。

srfi-0の定義により、機能要求が満されず、かつelse節がない 場合にはcond-expandはエラーをあげます。常にelseを書いて おくのがよいでしょう。 上の例のように、else節でなにもしないとき でも、空のelse節を書くのがよいでしょう。


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This document was generated on July 19, 2014 using texi2html 1.82.