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9.33 gauche.termios - 端末の制御

Module: gauche.termios

このモジュールは端末の制御のための手続きを提供します。 Unix環境では、低レベルAPIはモジュール名からわかるように POSIX termiosへのインタフェースを提供しています。 さらに、このモジュールでは、システムがサポートしている場合には 擬似 tty のインタフェースも提供しています。

Windowsネイティブ環境ではPOSIX termiosインタフェースは使えません。 Windows console APIは大きく違っているので、意味のあるエミュレーションを 提供するのが難しいためです。低レベルのWindows console APIは os.windowsモジュールで使うことができます(os.windows - Windowsのサポート参照)。 ただし、このモジュールの高レベル端末制御手続きは、 Windowsネイティブ環境でも使うことができます。


9.33.1 POSIX termiosインタフェース

ここに挙げる手続きは、機能シンボルgauche.os.windowsが定義されていない 場合にのみ利用可能です。機能シンボルによってコードを切り替える方法は 機能条件式cond-expandを参照してください。

Builtin Class: <sys-termios>

{gauche.termios} POSIX termios(7) の構造体です。

Instance Variable of <sys-termios>: iflag
Instance Variable of <sys-termios>: oflag
Instance Variable of <sys-termios>: cflag
Instance Variable of <sys-termios>: lflag
Instance Variable of <sys-termios>: cc

iflagoflagcflaglflagの各スロットは、 対応するビットマスクを非負の整数で表現した値を保持しています。

また、ccスロットはstruct termiosc_cc配列の コピーを返します。 c_cc配列の値を変えたい場合は、変更したu8vectorを明示的に ccスロットにset!して下さい。

このセクションを通じて、引数 port-or-fd はポートオブジェクトか システムのファイルディスクリプタを表現する小さい整数かのどちらかです。 portがシステム端末に結びついていないければ、エラーになります。 (sys-isatty?を使えばportが端末と結びついているか どうかチェックできます。 他のファイル操作参照)

Function: sys-tcgetattr port-or-fd

{gauche.termios} port-or-fd と結びついている <sys-termios>オブジェクトの 端末パラメータを返します。

Function: sys-tcsetattr port-or-fd when termios

{gauche.termios} port-or-fdと結びついている端末のパラメータを termios に設定します。 termios<sys-termios> のインスタンスでなければなりません。

整数の引数whenはいつ変更を有効にするかを指定します。 この引数用に3つの変数があらかじめ定義されています。

TCSANOW

変更を直ちに反映します。

TCSADRAIN

変更を、すべてのペンディングになっている出力がフラッシュされた後に反映します。

TCSAFLUSH

変更を、すべてのペンディングになっている出力がフラッシュされ、かつ、 すべてのペンディングになっている入力が破棄されたあとに反映します。

Function: sys-tcsendbreak port-or-fd duration

{gauche.termios} ゼロストリームを指定した時間、port-or-fdと結びついている端末に 送出します。時間の単位はシステム依存です。詳しくは、お使いの システムのマニュアルページ tcsendbreak(3)を参照してください。

Function: sys-tcdrain port-or-fd

{gauche.termios} port-or-fdへのすべての出力が送出されるまで待ちます。

Function: sys-tcflush port-or-fd queue

{gauche.termios} port-or-fdのバッファ内のデータを破棄します。queueには以下の値の どれかを指定します。

TCIFLUSH

受信データしたが読み込んではいないデータを破棄します。

TCOFLUSH

書き出したが送出していないデータを破棄します。

TCIOFLUSH

TCIFLUSHTCOFLUSH の両方の動作をします。

Function: sys-tcflow port-or-fd action

{gauche.termios} port-or-fdのデータフローをactionで制御します。actionは 以下の値のうちどれかです。

TCOOFF

出力の送出をサスペンドします。

TCOON

出力の送出を再開します。

TCIOFF

端末デバイスがシステムへの送出を止めるよう STOP 文字を送出する。

TCION

端末デバイスがシステムへの送出を再開するよう START 文字を送出する。

Function: sys-tcgetpgrp port-or-fd

{gauche.termios} port-or-fdの結びついている端末のプロセスのグループIDを返します。

Function: sys-tcsetpgrp port-or-fd pgrp

{gauche.termios} port-or-fdの結びついている端末のプロセスのグループIDをpgrpに 設定します。

Function: sys-cfgetispeed termios
Function: sys-cfsetispeed termios speed
Function: sys-cfgetospeed termios
Function: sys-cfsetospeed termios speed

{gauche.termios} termios内の入出力スピード(ボーレート)を取得/設定します。スピードは 以下の定義ずみの数値で表現されてます: B0B50B75B110B134B150B200B300B600B1200B1800B2400B4800B9600B19200B38400

もっと速いボーレート、たとえば、B57600B115200 あるいは B230400 をサポートしている システムもあります。symbol-bound?をつかえば、これらの オプションが定義されているかどうかをチェックできます。B0 はコネクションを終了するのに使われます。

Function: sys-openpty :optional term

{gauche.termios} 擬似 tty のペア、マスターとスレーブをオープンし、2つの ファイルディスクリプタの整数を返します。オプション引数 term が渡される場合は、<sys-termios>オブジェクトでなければなりません。 これは、pty パラメータを設定します。

open-input-fd-portopen-output-fd-portの両方またはどちらか を返されたファイルディスクリプタに対するポートを生成するために使うことが できます(ファイルポート参照)。擬似端末の名前を得るには sys-ttyname を使います(他のファイル操作参照)。

この関数はシステムが openpty(3) をサポートしている場合にのみ利用 可能です。

Function: sys-forkpty :optional term

{gauche.termios} 擬似 ttyのペア、マスターとスレーブをオープンし、スレーブ sty を ログイン端末になるよう設定し、fork(2) します。

二つの整数、最初の値は親プロセスに対しては子の pid の値で、0ならば 子プロセスです。ふたつ目の値はマスター pty のファイルディスクリプタの 値です。

オプション引数 termが渡される場合は、それは<sys-termios>オブジェクト でなければなりません。これはスレーブ pty のパラメータを設定します。

この関数はシステムが forkpty(3) をサポートしている場合にのみ利用 可能です。

注意: sys-forkptyにはsys-forkと同様のマルチスレッドハザー ドの危険性があります。(詳細についてはプロセス管理参照 してください)。マルチスレッドプログラムでは後述の sys-forkpty-and-execを利用してください。

Function: sys-forkpty-and-exec command args :key iomap term sigmask

{gauche.termios} sys-forkptyして、ただちに指定したcommandを引数 argsで子プロセスでexecします。この関数にはマルチスレッド 環境でもハザードを起こしません。

引数commandargsiomapsigmaskの意味は sys-execのものと同じです。(プロセス管理を見て ください)。キーワード引数termが与えられれば、スレーブptyの初期化 に使われます。


9.33.2 共通の高レベル端末制御

Function: without-echoing iport proc

{gauche.termios} iportが端末につながった入力ポートである場合、 端末をエコーしないモードにしてprocを呼びます。procには iportが引数として渡されます。 procから戻るか、procがエラーを投げた場合に、 端末は元のモードに戻されます。procからの戻り値がwithout-echoingの 戻り値となります。

port#fを渡すこともできます。その場合、 この手続きは標準の端末 (Unixでは/dev/tty、WindowsではCON)を オープンし、そにこつながった入力ポートを引数にprocを呼び出します。 標準の端末がオープンできない場合はエラーが投げられます。

iportが上記のいずれにも該当しない場合は、単にprociportを引数にして 呼び出し結果を返します。 例えば、端末からエコーなしでパスワードを読むのと、 リダイレクトでパスワードが流し込まれるのとを、区別せずに処理できます。

註: 実装上の問題から、Windowsでは、iport#fもしくは 端末につながっている場合、常に標準入力ハンドルのモードが変更されます。

Function: has-windows-console?

{gauche.termios} 走っているGaucheがWindowsネイティブで、プロセスが端末を持っている場合に#tを 返します。Unixプラットフォームでは常に#fが返されます。

この用途にcond-expandは不適です。というのも、Windowsプログラムは 端末なしで起動した後に端末をアタッチする、といったことができるからです。 詳しくはWindows console API参照。


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